月刊BLEトピックス 2026年11月号

こんにちは、株式会社フクミ Bluetoothチームです。
今月から新コーナー「月刊BLEトピックス」をスタートします!Bluetooth SIG・Nordic Semiconductor・Raytacの1か月の動きを、商社営業・開発エンジニア・購買担当の皆さまが「提案や機種選定にそのまま使える」形でまとめてお届けします。

月刊BLEトピックス 2026年11月号

第1回の今月のポイントは次の3つです。

  • Bluetooth SIGが東京に日本法人を設立。日本は会員企業数で世界3位です
  • Nordicが過去最高の四半期売上を更新。前年同期比+31.6%でした
  • RaytacのAI搭載モジュール「AN54LM」シリーズが年内投入へ。小型版「AN54LMQ」も控えています

■業界トピック

Bluetooth SIGが日本法人「Bluetooth SIG Japan合同会社」を設立

Bluetooth SIGは2026年9月2日、東京に日本法人を設立しました。日本の会員企業は2,900社超で世界3位。製品認証(クオリフィケーション)の件数も世界3位です。

あわせて、日本で活動する会員企業向けの「Japan Member Group」も発足しました。10月にはCEATEC 2026やBluetooth Japan Summit 2026でも発信がありました。日本語での情報提供や、認証まわりのサポートが充実していくことが期待されます。

出典:Bluetooth SIG プレスリリース

Nordic Semiconductor、過去最高の四半期売上を更新

Nordicの2026年第3四半期(7~9月)の売上は2億3,550万ドル(前年同期比+31.6%)で、四半期として過去最高となりました。

注目したいのは、Bluetoothの新規設計認証に占めるNordicのシェアです。直近12か月の平均は約30%。新しく開発されるBLE製品の約3分の1にNordic製チップが選ばれている計算です。10~12月期の売上見通しは2億1,500万~2億3,500万ドルとされています。

9月に発表された小型・低価格のマルチプロトコルSoC「nRF54LC10A」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

出典:Nordic Semiconductor Q3 2026 Report


■技術トレンド:BLEは「速く」「正確に」の2方向へ

速く:HDT(高データスループット)が仕様化へ

HDTは、BLEの最大通信速度を現在の2Mbpsから7.5Mbpsへ引き上げる技術です。Bluetooth SIGは10月15日の東京での説明会で、2026年11月のCore仕様への収録を見込むと説明したと報じられています。これを土台に、ロスレス音声の規格が2027年に続く予定です。

ただし、HDTには新しい無線モードが必要です。既存チップのソフトウェア更新では対応できないため、対応チップがいつ登場するかが今後の注目点です。

出典:Headphonesty(英語)

正確に:Channel Soundingの改良が続く

2026年5月公開の最新仕様「Bluetooth Core 6.3」では、距離測定機能「Channel Sounding」のデータ転送と精度表示が改善されました。スマートキーや落とし物タグ、倉庫の資産管理で「何m先にあるか」をBLEだけで測る設計が、いよいよ現実的になっています。

Core 6.3の詳しい内容は、【最新技術解説】Bluetooth Core 6.3の記事をご覧ください。


■Raytac新製品・動向

今秋の主役は、Nordicの最新SoC「nRF54LM20A/B」を搭載した新シリーズです。特にnRF54LM20BはAI処理専用のNPUを内蔵しており、センサーデータの判定をモジュールの中で完結できます。

シリーズ搭載SoC特長状況
AN54LMnRF54LM20A / 20BGPIO 66本、高速USB。20BはAI用NPU内蔵(9.9×13.3mm)2026年10~12月 投入予定
AN54LMQnRF54LM20A / 20BAN54LMのGPIOを絞った小型版2027年1~3月 投入予定
nRF54L15 ATコマンド版nRF54L15ファーム書込済み。マイコンからUARTで操作。最小6.4×8.4mm量産中

ATコマンド版は、BLEのプログラムを書かずに既存製品へ無線を追加したい場合にぴったりです。Raytacによると、nRF52系のATモジュールと比べて消費電力を約50%削減できます。日本の電波法認証(TELEC)も取得済みです。

その他のお知らせ

  • MDBT40シリーズのチップアンテナ変更:部品の生産終了に伴う変更です。外観以外の性能・認証に変更はありません(PCN-26041701)
  • グループ会社abietecがNXPの登録パートナーに:Wi-Fi 6とBLEの複合モジュール(RW610/RW612搭載)も展開予定です(出典)

■活用ヒント:見守り・安全系ウェアラブル

海外では、nRF54L15を使ったボタン式の緊急通報端末や、位置を知らせるスマート社員証が登場しています(Nordic発表)。介護施設・工場・建設現場・学校などで需要が伸びている分野です。

同じnRF54L15を搭載したRaytacモジュールなら、同様の製品をスピーディーに形にできます。

  • 小型化:AN54LVは6.4×8.4mm。バッジやペンダントにも収まります
  • 電池寿命:低消費電力で、コイン電池での長期運用を狙えます
  • 認証済み:日本のTELECをはじめ、各国の電波法認証を取得済みです
  • 位置の把握:Channel Soundingを組み合わせれば、精度の高い位置推定も検討できます

■今月の用語解説

用語ひとことで言うと
NPUAIの計算を専門に行う回路。端末内でAIを動かす「エッジAI」を、少ない電力で実現します
Channel SoundingBLEの電波で機器間の距離を測る機能。電波の強さで推定する従来方式より高精度です
ATコマンド「AT+」で始まる文字列でモジュールを操作する方式。モデムの時代からある仕組みです
PCNProduct Change Notice(製品変更通知)。部品や工程の変更をメーカーが事前に知らせる文書です
CRAEUサイバーレジリエンス法。EUで販売するネット接続機器にセキュリティ対策を義務付けます

■Raytacモジュールのご相談はフクミへ

「お客さまに提案できるBLEモジュールを探している」「AN54LMシリーズのサンプルや予備資料が欲しい」「現行品の置き換えやコストダウンを検討したい」。そんなときは、お気軽にご相談ください。「まだ検討の入口」という段階でも大歓迎です。Raytacモジュールは1個からご購入いただけます。

株式会社フクミ Bluetoothチーム
Mail:lbt_bt@fukumi.co.jp TEL:03-5687-2890

次回(12月号)予告:HDTの仕様公開とその後の動き/AN54LMシリーズの詳細スペック/用語解説「Matter」ほか。お楽しみに!

※本記事は2026年10月28日時点の各社公開情報をもとに作成しています。予定は変更される場合があります。Bluetooth®のワードマークおよびロゴはBluetooth SIG, Inc.の登録商標です。その他の製品名・会社名は各社の商標または登録商標です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。