Matterとは、IoTデバイス間のシームレスな相互運用性を実現するためのオープンソースのスマートホームにおける新しい標準プロトコルとなります。
以下はMatterに関して調べた内容になります。
2022年10月に、Matter標準規格ver1.0がCSA(Connectivity Standards Alliance)により発表され、今年のCES 2023で話題となった経緯があります。
■標準化団体について(CSA?Project CHIP? Matter Alliance? )
今回Matter ver.1.0規格を発表したCSAは、かつて Zigbee Alliance として知られており、スマートホームデバイスのための標準化を促進する業界グループでした。しかし2020年にThread、BLE(Bluetooth Low Energy)および IP 技術を使用する新しいスマートホームプロトコルの開発を発表し、このプロトコルは Project CHIP として知られることとなります。
その後、Zigbee Alliance は Connectivity Standards Alliance(CSA)と改名し、Project CHIP はMatter という新しいブランド名を採用し、Matter Alliance が開発、推進、および標準化の取り組みを進めることになりました。
つまり、CSAはZigbee Allianceから改名された業界グループであり、Project CHIPは以前はZigbee Allianceが開発していた新しいスマートホームプロトコルの開発プロジェクトのことで、後にMatterという名称に変更されました。そして、Matter Allianceは、Matterの開発、標準化、普及を進めるために立ち上げられた非営利団体で、Google、Apple、Amazonなどの業界のリーダーが参加して、スマートホーム製品の相互運用性を改善するために取り組んでいるということになります。
■Matter
Matterは、IPv6ベースの通信プロトコルを使用し、異なるメーカーやブランド、デバイスタイプ、ネットワーク技術にわたるスマートホーム製品の相互運用性を向上させることを目的としています。また、Matterは、ユーザーにとって簡単に設定でき、シームレスな接続体験を提供することを目指しています。Matterは、さまざまなスマートホーム製品が同じネットワーク上で相互に通信できるようにし、消費者が異なるブランドの製品を組み合わせて利用できるようにすることで、スマートホーム市場の成長を促進することを期待しています。
Matterは、デバイスに展開されるアプリケーションレイヤーと、相互運用性を維持するためのさまざまなリンクレイヤーを定義しています。また下位から上位のレイヤーまですべて共通化されているスマートホームでの初めての規格ということになります。Matterプロトコルは、Google Weave、Apple HomeKit、Zigbeeなどの既存の信頼できるプロトコルの最良の部分から構築されているといえるようです。
■Bluetooth®との関係性
Bluetoothは、近距離無線通信技術でスマートホームのデバイス間通信にも使用されますが、Matterのようなスマートホームに特化した業界標準ではありません。異なる技術ですが、Matterでは、BLEスタックがMatterプロトコルスタックに実装でき、BLEコントローラーとBLEホストがMatterネットワーク内のデバイス間でBLE通信を可能にします。BLE通信を行うMatterデバイスはBLEプロファイルに従って通信を行い、Matterプロトコルスタックを介してIPv6ネットワークに接続されます。また、MatterはBLEのアドバタイズメントパケットを使用して、MatterデバイスがMatterネットワークに参加するための簡単な設定方法も提供することが出来ます。
更に補足するとMatterプロトコルはIPv6をベースとしていますが、IPv6パケットは通常、40バイト以上のヘッダ情報を含むため、BLEのペイロードサイズ(送信可能なデータ量)を超えてしまいます。そのためMatterプロトコルではIPv6パケットを圧縮(と分割?)するために6LoWPANを使用するようです。
■Matter認証
Matter ver.1.0によると、CSAより規格に適合するための確認ツール(テストケースとツール)がアライアンスメンバーに提供されているようです。以下は現時点での9社 認証済みテストラボとなります。
Authorized Testing Providers
- Allion Labs, https://www.allion.com.cn/
- Bureau Veritas, https://www.cps.bureauveritas.com/
- CESI, http://www.cesi.cn/
- DEKRA, https://www.dekra-product-safety.com/
- Element Material Technology, https://www.element.com/
- Granite River Labs, https://www.graniteriverlabs.com/
- Resillion, https://www.resillion.com/
- TÜV Rheinland, https://www.tuv.com/
- UL Solutions, https://www.ul.com/
また認証プロセスは下記のようになります。
■Nordic Semiconductor
Nordicが提供するBluetooth Low EnergyのSoCでMatterに対応するのはnRF52840とnRF5340のようです。
SDKはnRF Connect SDKが対応。
それぞれのSoCを搭載したRaytacのDBは下記品番となります。
nRF52840 : MDBT50Q-DB-40(弊社取り扱い有り。お問合せフォームより)
nRF5340 : MDBT53-DB-40 (弊社取り扱い有り。お問合せフォームより)
*NordicがnRF Connect SDKでMatterを開発するWebiner(Link先ページ最下部付近)を公開しているようです。
乱立するスマートホームの規格がMatterによって統一されるか?
今後の動きに注目ですね。
以上になりますが、情報の精度に若干かけるものがあるかもしれません。ご容赦ください。