Raytac Bluetooth® Low Energyモジュール使用時の各国電波利用認証及びSIG認証について


RaytacのBluetooth® Low Energyモジュールの最大の特徴の一つである「各国認証取得済み」について、実際それぞれの国で違う規制・認証においてお客様の方でどのような対応が必要か?について今回は解説していきます。

1.FCC(アメリカ)

FCCはFederal Communications Commissionの略で、アメリカにおいて放送通信事業の規制・監督を行う機関です。アメリカでの無線通信機器の許認可に関わり、Bluetooth製品も対象となります。

【Raytacお客様の対応】

使用されるモジュールに付与されたFCCのIDをそのまま完成品に表示して頂く必要があります。また完成品でのFCC Part15B EMCの試験は必要になります。

 

 

2.IC(カナダ)

Industry Canadaが通信、電信及び電波を管理する連邦政府機関となり、意図的に電波を発する製品に対して規制をかけています。

【Raytacお客様の対応】

FCC同様に使用されるモジュールに付与されたICのIDをそのまま完成品に表示して頂く必要があり、完成品でのEMC試験が必要になります。(IC ES003)FCCと共通する部分が多いため、FCCと合わせて試験をしてもらえる試験機関が多いようです。

 

 

3.Telec(日本)

総務省が管轄する電波法で電波利用に関して規制されています。技術適合証明と工事設計認証があり、通称「技適マーク」と呼ばれたりしています。技術適合証明は使用する無線設備についてすべて試験を行い、個別の番号が割り振られます(限定的な数量の場合に使用する)。一方Raytacが所持しているのは工事設計認証となり、一つの番号が割り振られ、試験体と同一であれば制限なく生産・使用することが出来ます。

【Raytacお客様の対応】

こちらは非常にシンプルです。使用するモジュールに付与された認証番号を完成品に表示するだけです。(FCCやICのように完成品でEMCの試験をする必要はありません) したがって、お客様での初期費用はゼロとなります。

 

 

4.KC(韓国)

韓国における複数の規制関係にかかわる統一された認証マークで、Bluetoothは国立電波研究所(RRA)が管轄となります。韓国への通信機器の輸出または製造・販売には必要なマークとなります。

【Raytacお客様の対応】

他と違い幾つかの対応・不便さが有ります。まず完成品において無線でのEMC試験(KN301489. CEのEN301489と同じ)が必要になります。さらにIO Portがある製品の場合は、優先でのEMC試験も必要になります。(KN3235)

それぞれの試験は韓国内にある指定の試験機関で行う必要があり、韓国外での協力先はありません。

まず無線での試験ですが、いずれにしても試験を実施する必要がありますが、Raytacが所持する認証レポートを参照してもらえば、実績済みという事で試験が通るようです。



5.CE(Radio Equipment Directive 2014/53/EU(RED))(EU)

*R&TTE指令は2016年6月13日に廃止

CEは厳しい規制と認識されることが多いですが、実際はそこまで複雑ではありません。Bluetooth搭載の消費材製品ですと…

 (1)Conducted engineering sample の試験(EN300328)

 依頼する試験機関が認めれば、Raytacのテストレポートの転用が出来ます。念のため、Raytacが使用したSGSへの依頼が好ましいです。

(2)Radiated engineerign sampleの試験(EN300328)

(3)EMC 試験(EN301489)

(4)安全性試験(EN60950)

    *2021にはEN62368へ移行予定

 

 

6.SRRC(中国)

SRRCはState Radio Regulation of Chinaの略で国家無線管理委員会が管理しています。無線伝送装置をタイプ別に区分し、中国においての輸出及び仕様において許可書が必要になります。

【Raytacお客様の対応】

もしRaytacの使用者の製品が「Home Appliances」または「Office Utilities」の区分に分けられる場合は、RaytacのSRRC IDをそのまま使用することが出来ます(Telecの様に)

それ以外に区分される場合は、自身のSRRC IDが必要になるので、一から試験をする必要があります。

 

 

7.NCC(台湾)

いわゆるModule policy (Telec等)と似たPlatform policyを採用しています。定義上では既にある特性に機能を追加する程度であれば、Module policyと同じでRaytacのNCC IDがそのまま使用できます。

【Raytacお客様の対応】

既にあるPlatform (Existing feature)に機能を追加するだけの場合は、Raytac のNCC IDを製品に付与するだけとなりますが、全く新しいアイデア、特性を製品化する際は、自身において新たにNCC IDを取得してもらう必要があります。*都度相談ください。

 

 

8.RCM(オーストラリア)

こちらはIC がFCCに似ている以上に、RCMはCEに極近いものが有ります。

【Raytacお客様の対応】

もしCEを既に完了している場合は、CEの試験を依頼した先に試験レポートを転用してもらい、RCMへの申請に使用が出来ます。ただCEを完了していない場合は、一から試験を依頼する必要があります。内容としてはCEと同様で、

  • Test on Conducted engineering sample
  • Test on Radiated engineering sample
  • Test EMC
  • Test Safety   となります。

 

 

9.Bluetooth®認証

2014年2月から変更がかかり、分かり難いとの声が多いSIG認証ですが、Raytacのモジュールを使用すればシンプルです。

 (1)SIGメンバーになる

   *アダプターメンバーであれば無料

 (2)DIDの購入

   *アダプターメンバーはUSD8,000

 (3)RaytacのQDIDを使用して登録

 

上記のステップはお客様の最初の製品に必要になりますが、新モデルを発売する時はどうするか?について答えは「もう一つDIDを購入する必要はありません」となります。

ただ条件があり、もちろん新モデルもRaytacのモジュールを使用する事ですが、下記はSIGが回答している「DIDが新たに必要になるとき」の条件です。

 (1)Hardwareに変更がある場合

   ⇒Raytacのモジュールを使用していれば気にする必要はありません。

 (2)Featureに変更がある場合

   ⇒いわゆるProfileのことです。RaytacはBluetooth® Low Energyにおける幅広いProfileでSIG登録しているので、殆どのケースでお客様にて気にして頂く必要はありません。

 (3)ブランド名に変更がある場合

   ⇒ブランド名が代わる場合=SIGメンバーが違う場合が殆どだと思われますので、こちらも気にして頂く必要はありません。

 

 

以上がRaytacが代表的に各製品にて所持している認証関連の情報です。ご存知の通り各国各種違いがあり、違うポリシーをもって適宜更新がされています。従いまして、間違いないのは都度各国の関連機関に御確認の上、Raytacのモジュールを検討頂くのがよいかと思われます。

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