電波法 技術基準適合証明について


Bluetooth製品を日本市場で販売する場合、
(厳密には「電波を利用する場合」ですが)
Bluetooth SIGのロゴ認証(DID認証と呼ぶ人もいます)以外にも
電波を利用するにあたり電波法を遵守しなければいけません。

今回は技適マークとは?申請のフローは?等を含め
説明していきたいと思います。

1.電波法とは?
電波法は総務省の管轄で、公共の資源である「電波」が正しく利用されるようにするための
法律です。

*「電波」とは電波法においては3,000GHz以下の周波数の電磁波と定義されています。

 

2.電波法と免許の関係
電波の取り扱いには専門の知識が必要ですので、アマチュア無線を例にとっても分かるとおり、
無線設備を利用するには「免許」が必要です。
ところが、例えば携帯電話のユーザーが免許を取得しなければならないとなると、
このテクノロジーが持つ利便性が著しく損なわれてしまいます。
そこで、利用にあたって免許が必要ない「免許不要局」と呼ばれる無線設備が存在します。
我々が普段から利用しているBluetoothの無線設備のほとんどは、この免許不要局に属するものです。

 

3.特定無線設備とは?
免許不要局の中でも、総務省が特別に定めた無線設備のカテゴリーがありますが、
これを「特定無線設備」と呼びます。
*るBluetooth製品も特定無線設備に該当するケースが殆どです。

 

4.登録証明機関
登録証明機関はこの特定無線設備に対して、
総務省が定める技術基準に適合しているかどうかの審査を行うことができます。
この審査を「技術基準適合証明」および「工事設計認証」と呼びます。

 

5.技術基準適合証明と工事設計認証について
「技術基準適合証明」は、製品の型式に対してではなく無線設備の各個体に対する証明形体で、
少量生産や特定の場所に設置して使用する物に対して選択されるケースが多いです。

各個体に対する証明ですので、証明を受けたものと全く同じ設備を新たに製造した場合でも、
新たに申請・証明が必要になります。

「工事設計認証」は、試験や審査の対象となるサンプルは1台のみですが、
量産品に対する性能保証の為、無線の設計書に加え生産の品質管理に係る審査も行います。
認証は1つの型式に対して行われ、以降の同じ生産品に関して追加の申請が不要となります。

一般に小売されるか、不特定多数のユーザーに供給する製品に対して選択されるケースで、
我々の様に消費者向けの製品を大量製造する場合に工事設計認証を取得する事が普通です。

 

6.工事設計認証 取得までの流れ

(1)登録証明機関へ申請
*登録証明機関のリストは総務省の電波利用ホームページに掲載されています。
*機関によって証明/認証が出来る設備の範囲が違いますので事前に確認が必要です

(2)「工事設計書」の提出・審査
*無線設備の設計内容や電波の発信についての仕様についての情報
*補足として製品仕様書、回路図、取説等を提示する場合があります

(3)特性試験
サンプルを提出し下記項目を試験してもらいます。

・空中線電力: アンテナ給電点のRF 電力の測定
・周波数偏差: キャリア信号の基準値からの周波数偏差の測定
・占有帯域幅: 放射されたRF 電力が占める周波数帯域の幅の測定
・放射スプリアス: 波形の歪による高調波など、送信周波数以外で発生する電波の測定
・副次的なノイズ: 受信状態で発生するノイズの測定
・隣接チャンネル漏洩電力:マルチ・チャンネルの無線設備において、
送信チャンネルから隣のチャンネルに漏洩するRF 電力の測定
・混信防止機能: 送信周波数の重複を避けるための、混信防止機能の確認

(主な項目です。無線設備によってはこれ以外の項目を確認する必要があります)

(4)対比照合審査
サンプルが工事設計書通りかの確認です。

(5)確認方法書の審査
工場で量産される無線設備が提出されたサンプルと同一に製造されるかどうかについて、
その品質保証体制を審査します。
尚、申請無線設備を製造する工場、またはその管理者がISO9001 の登録(又は認証)を
受けている場合、その認証書のコピーを提出することで、この確認方法書の審査を
省略することができます。
ISO9001 の登録(又は認証)を受けていない場合は、提出された確認方法書の審査を行います。
尚、この審査において、実際の工場に出向いて現場の監査を行うことはありませんが、
「組織図」や「QC 工程図」など生産管理に係る書類の提出を要求することがあります。

以上の流れで問題ない場合に証明書が発行され技適マークが表示できるようになります。

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